ブログ版/外国帯同妻リアル

外国出向辞令を受けた夫との生活を嫁の目線で語ります。

美女のアケミ

美女のアケミは時々無駄な動きをする。実名で書いている彼女のFacebookには私の写真もポンポン投稿されていて、彼女の本名は私にとってトップシークレットだ。なので、勝手に付けた源氏名、『アケミ』と記述する。借金まみれでも常にポジティブシンキングで、ミスコン優勝経験を誇る美貌を維持し続けている彼女を形容するのに、これ以上ピッタリな名前も無いと思う。

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『顔のキレイな女なんて、どうせ本当はみんな性格が悪いんだ!』……などと本気で言っている女性は、お気の毒ながら、親族や近所の友達に顔のキレイな女なるものが全く生息していないという環境で育ったのだろう。世の中不公平なもので、そういう人だらけの地域や会社がある一方で、皆無となる地域や会社もあるのだ。自分自身が心穏やかでいられる場所に留まっておくのが精神衛生上よろしい。

顔のキレイな女に性格悪いのが少ないと私が考える理由は以下の通りである。美人は目が合うだけで見初められる率が高い。玉の輿に乗るために必要な努力は、他者への攻撃ではなく、見初めてくれた人が付き合ってますます好きになるような魅力を磨くことのみであろう。最初に好きになってもらえる程度ではない女は、第一印象を良くするためのメイクテクニックや服選びのセンス等を磨くことから始める必要がある。美人を見つけ次第蹴落としたがる女がなぜそうなったのか?何となく察するが、今回は無関係な人たちなので触れないでおく。

アケミは何も努力する必要が無いレベルの美人である。しかも、勉強の好きな学生だったらしく頭も良くて気の利く英会話も上手だ。黙ってお金持ちのイイ男に微笑みかけてさえ居れば、苦労の少ない豊かな暮らしを手に入れられただろう。だが、彼女には余計なことをしたがる習性が有った。自分が一番じゃないとイヤだと言って譲らない気の強さで、どんどん他人と衝突して、どんどん敵が増えていく。そんな彼女をブログで紹介したい。

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最初に彼女を認識したのは、夫の働く会社の創立記念パーティーだった。皆勤賞の表彰や、豪華家電の当たる福引大会など、おトクなイベントの多いパーティーである。その他のイベントとして、チーム対抗ゲームやのど自慢大会などもある。それらで得られるのはお菓子詰め合わせ程度。参加していること自体を楽しんでもらえれば良いという趣旨であった。

入社して間もない社員として、アケミは指名されてそのゲームに参加していた。二人三脚のように足首を紐で縛られ、その紐にはパンパンに膨れた風船が一つくくりつけられている。歩きにくい格好で二人が協力しながら進軍し、他のペアが守べき風船を蹴破る。最後まで残った人がお菓子詰め合わせセットをもらえる。……日本の運動会に例えると騎馬戦のような、攻撃しつつも守備を怠ったら負けよという単純なゲームである。

息の合わないペアが陣営を離れているのを私は見ていた。同時に違う方向へ行こうとして足首の紐がほどけたようだ。司会担当の人に紐をくくり直すのを手伝ってもらっていた。『これで直ったよ。』そう言った直後である。『パンッ!』いい音が響いて、再び参戦しようとしていた彼らの風船が弾けた。司会担当の人に『紐を直してって言っただけなのに、何してくれるんだ!!』と、文句を言い始めた。『いや、私じゃないよ。私は紐を直しただけで風船には触れていない!』と、もめ始めた。

あの風船を勢いよく蹴破ったのは、背後から忍び寄ったアケミの履いていたピンヒールである。一発で見事に破裂した。連戦連勝しているので効率よく割る要領が掴めていたのだろう。しかし、いささか卑怯ではあるまいか?モメ始めたのに気付いたはずなのに、踵を返してそ知らぬ顔で戦場に戻っていった。そんなにまでしてお菓子詰め合わせが欲しいのか?私以外にも色んな人が見てたぞ……。

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手段を選ばない強引さと男性社員を挽きつける美貌とでアケミは指導力を発揮し、『休めたら明日休みたいんですけどぉ……』と申し出る部下に一喝、『ふざけるな!』と怒るなどして、どんどん会社の生産性を上げていってくれている。美人に怒られて喜ぶ男が多いのは、外国でも同じらしい。

『そんなことしてないで、ただ大人しくしていれば怒鳴ることすら必要ない、楽な日々を送らせてくれるような相手を見つけられるのになぁ。』……とも思うのだが、なぜかあくせく働くしかない人生をアケミ自身が選んでくれているお陰で、会社がとても助かっている。中小企業の子会社レベルでなかなか入ってきてもらえない逸材に感謝している。

今日は、自宅前にいきなり車が停まってクラクション連打するから何事かと思ってカーテンの隙間から見たら、仁王立ちのアケミが居た。あーびっくりした!仕事以外にも料理が得意なアケミが私のためにおやつを作って来てくれていて、それ食べているうちにアケミの話を書きたくなった。なんで私なんかのために時々料理の腕をふるってくれているのか?……なんて話は、また別の機会に書くことにする。