ブログ版/外国帯同妻リアル

外国出向辞令を受けた夫との生活を嫁の目線で語ります。

社宅完備という名の甘い罠

ブログを気分転換の道具として更新するにあたり、話のバックボーンにある、『社宅完備を謳う中小企業の外国出向に帯同してみたらこうなった』という事実を書く必要を感じたので、初期の頃の環境について書きたい。どんどん気分転換することで、一年ぐらい続いている『壊れかけたパソコン内データ救出の試み』作業も、はかどるかも知れない(まだ諦めないのかって?!)。

 

転勤者には大抵、『知らない土地で住む場所を探すために業者を探して家探しを依頼する』という手間は省かれているものだ。『社宅完備』という待遇の詳細を訪ねてみると、家具も家電もそろった借り上げ社宅を用意してあるから住まいの心配は不要、とのことであった。世界は広しと言えども、日本人が住む家なら大抵、トイレぐらいは有るだろう。確かにトイレは有った。但し、他の社員さんたちと共同である。トイレもシャワーも台所も、全て他人と共同という生活を、外国に来て始めることとなった。

 

夫以外の同居人は単身で働く男性先輩社員たちで、みなさんお勤めの間に私は一人で留守番をする。その間に同居人全員分の家事をこなす。洗濯物が一通り片付いたら、別世帯の上司夫妻の家に行き、奥様の代わりにその家の家事をこなす。同居人の中でも古株の先輩は帰りが特に早いので、大慌てで戻ってシャワーを浴びておく。『つい先ほどシャワー使ってました』って痕跡を残したくなかったので。これが私の日常であった。

 

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同居人の中でも若手の先輩は、(いいように考えると)私たち夫婦に同情的であった。『もうしばらく待て。』という上司の指示を裏切り、水面下で私たちが独立して暮らせる家探しの手配を進めて下さっていた。(常識的に考えると)今まで働きながら自分のことぐらい自分で出来てきたし、同じシャワーやトイレを共有する人が二人増えるなんて気疲れする生活の方がイヤ!ということだったのかも知れない。日本の本社から、『現状を聞いて驚きました。すぐに改善するよう指示しておきます。』との連絡が来て、やっと夫婦だけで暮らせる家に引っ越すことが出来た。

 

これで、私と夫の家事だけしながら上司の家の家事をやっつけに行くだけの生活となった。数か月後に私が何週間も寝込むこととなり(毎日残業のあとで夫M田くんがご飯を買ってきてくれた)、なし崩し的に他人の家の家事代行という義務は免除されることとなった。毎日無給で『通勤』していた上司の家に呼びつけられる機会は激減し、今ではすっかり元気で過ごしている。

 

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大企業からの出向者なら家政婦ぐらい自費で雇える収入があるので、このような心配は不要である。また、全ての中小企業の社員や家族が同じ目に遭うわけではないはずだ。ただ、私が愛想笑いをかましつつ、社内の邦人にあまりフレンドリーな気持ちを抱いていないのは、このような経験が背景にあるからだ。もっとも、上司にバレるリスクをおかして根回ししてくれた若手社員の気遣いには感謝している。

 

せっかく時間を割いてブログを読んで下さった方が胸糞悪い思いをしなくて済むよう、外国帯同中に起こった出来事の多くを具体的に詳細まで語らないつもりでいる。ただ、間接的に迷惑かけられたせいで寝込んだことがあったかも知れないが、私たち夫婦に限って言えば、社内の人から直接的に暴行傷害を受けたことは一度もないことを明記しておく。また、結果だけ言えばここに来て良かったとすら思っているのである。『不信感』からのスタート。なんで来て良かったと思えるようになっていったのか、今後の更新で徐々に書いていけたら良いなと思う。