ブログ版/外国帯同妻リアル

外国出向辞令を受けた夫との生活を嫁の目線で語ります。

聞いてはいけないシリーズ ~学習塾編~

はじめに

ブログに書きたいと思っている外国あるある話のほとんどを書けてないにも関わらず、先にこのシリーズを書かないと忘れてしまいそうなので順番を抜かすこととする。文章にすると長くなりそうなので、長いなりに小分けにアップする。

 

このエントリーだけで読むのに15分ぐらいかかりそう。しかも!面白くないし、外国の情報なんて入手できないし。スルーして下さるのが賢明かも?とりあえず、一方的に頭の中にあることを出力していく。

 

もくじ(この機能を使ってみたかったのが投稿動機)

 

f:id:masuhana:20151020005642p:plain

小学生~頑張りたくない夕べ~

アラフォー世代の小学生時代と言えば景気が良かったはずだ。気の大きくなった父が、お嬢様学校として地元では知られる某女子学園に進学したくないか?と、聞いてきたことを今でも覚えている。『毎日通うの?どうやって?』もっと早起きして電車に乗ると聞いた時点で『面倒くさい』と思ったが、塾に通って特別な勉強もしなくてはと言われたら決心できた。『イヤ。』

 

ここで頑張らなかったことを間もなく後悔することになるが、一周回ってから振り返ると、頑張らなくて良かったとも思う。仮に受験勉強を頑張っていたとして合格できたのかどうかも、わからない。のびのびと小学生生活を謳歌し、徒歩数分の公立中学校に何のためらいもなく進学することとなった。

 

f:id:masuhana:20151020010104p:plain

 中学生~安かろう悪かろう環境問題~

同じ小学校に通っていた中で、品行方正な順に数えて上位何番目かだった児童たちの全てと今後の人生で接点がなくなったことを一年の四月に知った。何らかのフィルターで濾過されたようなメンツの集う公立中学校の教育環境はひどいものであった(地域格差が如実に現れる部分であり、全ての公立中学校がひどいと言いたい訳ではない)。

授業であっても学力を授かる訳ではない

担任の先生が右手を高く挙げながら生徒に問う。『日の丸の何が悪いか、説明できる人!居ないの?』国旗、国家、天皇象徴制、自国の領土への侵略を黙認しない権利、祖国を愛する気持ち。その他色々について難癖を付け続けた挙句、『要するに、日の丸は国のために死にたくなるように暗示する記号だから悪だということです。』……と、更に斜め上の結論で締めくくっていく。

 

政党VS政党という場面で、『要するに、……という意味です。』って飛躍した結論で締めくくって『一言でまとめたからこの話題はお互いに納得済み。』みたいな空気を作ろうとしている演説を聞く度に、何を授かっていたのだかわからなかった例の授業を思い出してしまう。公立中学が嫌いだという気持ちを植え付けるための授業だと当時は理解していたが、国家を転覆させるとか、もっと大きな野望を植え付けるための授業だったのかも知れない。その授業の効果で国家を転覆させたものは居ないし、当時の先生はもう定年退職しているだろうから、何のための授業だったのか真意を問い直す機会も無い。

 

この、『要するに』論の一貫として、『学習塾に通ったり家庭教師に通ってもらったりすることで学力を身につけた結果、地元の学校ではない進学校へ進学する』という当たり前のことを企む者たちは、『みんなを踏み台にするズルい存在』と呼ばれ、嫌われる少数派となった。私は進学したがる子が多く在籍する部活を楽しんでいたので仲間が皆無という意識は持っていなかったが、進学したがらない子の多いクラブに所属していた子とかは寂しい中学生生活を送っていただろう。

 

卒業よりも部活の引退が先で残りの学校生活が面白くなくなった私は、いじめられるべき少数派として教室でつぶやいてみた。『毎日毎日担任に一人残るように言われて、長時間ずっと地元の高校に行けって説得され続けていると、気が滅入るわ。このまま流された方がラクなのかなぁ……。(クスクス)』その時期には、みんなが行くべきと言われる地元の学校にも定員があって、確実に合格しそうな人が予想外に受けに来ることで誰かが落ちるということが大多数派のみんなにも理解できたようだ。全力で『頑張って地元から出て行け!』と、擁護されるようになった。

そもそも授業すらない

当時の私が心の中で『不良』とラベリングしていた生徒だが、今時こういう子を何と呼ぶのだろうか。制服を着崩しながらノロノロ登校してきたものの、次の授業が始まっても教室に戻らず学校敷地内で似たような友達とダラダラ喋っている……ということを繰り返す子がクラスに居た(物理的に言うと、居なかった)。授業をすべき先生の指示で、全員が手分けして学校中を歩き回ってその子を捜索し、連れ戻してからやっと授業を始めるから今すぐみんなで探して来いと言われ、結局15分の短縮授業になってしまうこともあった。あれで一単元学んだことになったのだろうか?

塾には課金するだけの価値があった

公立学校より高い授業料には払う価値があったようだ。学習塾では勉強する楽しさを教わり、成績が伸びる実感があった。もっと頑張ればもっと良い環境で勉強できるようになると言うのでいいことだらけ。高校受験資格を得るためだけに座っている教室、息抜きのための部活、将来のための塾。私の居場所にはそれぞれ意味が有った。私も尊敬した塾の諸先生方のように、本当の学力を授ける存在になりたいと強く憧れた。

 

f:id:masuhana:20151020010404p:plain

高校生~特進コース~

無料オプション

尊敬する学習塾の進路指導担当によると、制服が一流ブランドで格好いいなんて基準で学校名を選ぶのはダメとのことであった。何より重要だったと思った情報は、一般コースではなく特進コースに入らないと勉強できないと思いなさい、という話であった。同じ授業料なのに授業のコマが多いというだけでもいい話である。家庭教師とか予備校は授業のコマを増やすと料金が高くなるのが普通なのに。

 特進コースのデメリット

特進コースを選んだことを後悔している訳ではない。ただ、事前に説明されていなかったので騙されたような気分になった点があるので書いておこうと思う。

看板部活は入部お断り

私立なので本気度が違う。進学実績も部活の実績も今後の生徒募集に欠かせない、学校の存続に関わる重要な話のようだ。なので、勉強か部活か片方だけ選べと言われた。これぐらい説明されてなくてもわかっておくべきことだったような気がするが、私にとっては、これが一番ショックだった。

推薦入試は諦め気味

特進コースと一般コースとでは授業内容が全然違っていたそうだ。なので、成績は各コースの中での相対評価となる。特進コースを選ぶ生徒は勉強好きな子が多いので、この中で5段階中4や5を取りまくるぐらいの学力となると……一般入試でラクラク合格出来るレベルとなってしまう。よって、特進コースの先輩が作ってきた実績でもらった推薦枠を、一般コースの後輩が使うというシステムとなる。

選挙権も被選挙権も無い

特進コースの生徒たちが知らない所で生徒会の選挙活動は行われていたようで、いつの間にか、毎年一般コースの生徒の誰かが生徒会長になっている。器としては、常に主席で総代となったあの子が学力人物共に相応しかったと思うのだが、私には学力人物共に全く関係ない話である。

0時間目とか8時間目とか

中学生の時に塾の先生が仰ったとおり、素晴らしい授業をしてくれる先生方が、特進コースには溢れそうな程、ワンサカ居た。申し訳ないけど、塾で受けた授業のレベルをはるかに超えていたと思う。だからと言って、そこに入れるだけの学力をつけてくれた塾への感謝の気持ちは変わらないが……。

 

先生はいずれも熱心に教えて下さる方ばかりだった。授業開始直後の5分間だけ毎回小テストをする……みたいなジャブから始まり、学校が正式に始まるより早い時間から小テスト30分ほどするから早く登校して来なさいって言われる曜日が増える(なるほど、全国大会を目指すような部活に入れない訳だ)。最終的には毎日だったか?

 

夕方は夕方でなくなっているような時間になってようやく最寄り駅に向かう。まだ高校生なので夜ご飯は自宅で食べるべきであり、熱心な先生方の授業のコマにも限界が有る。『英作文を強化したい人』とか、『文法が苦手な人』とか、『小論文で受験する人は添削します』とか。希望者のみの宿題ノートを交換日記のように見て下さった先生方への感謝の気持ちと、その授業内容は忘れることが出来ない。

 

感謝の気持ちは合格実績で返すしかないと思ったが、連続5日受験とか無茶な計画を話すと担任の先生が全力で否定してくれた。体力に無理のないスケジュールで受験することで、私はそこそこの大学に合格することが出来た。

 

f:id:masuhana:20151020010758p:plain

 大学生~痛いアントワネット先生~

鶏口牛後

さて、いよいよ私が子供たちに勉強の楽しさを教える番が来た。時給の高さに目がくらんで応募した大手予備校の講師は履歴書だけで不合格となってしまった。私が記念受験した大学より難関と言われる大学に受かった人たちが教鞭を振るうところだったのだから仕方ないか。何とか拾ってくれた無名の学習塾で働いたり、家庭教師を掛け持ちしたり、色んな所で『先生』呼ばわりされることを小さく楽しんだ。塾では特進コースでないと受けられなかった上等な授業のパクリを惜しみなく披露することで喜ばれ、最終的に時給は2倍ぐらいまで昇給した。

塾と家庭教師の各メリット~先生目線~

勤務先の塾長いわく、塾の進路指導は自分が責任を持ってするから先生たちは授業をするだけでいいから気楽だろうと言い、家庭教師なんて他人の人生を請け負う職には就くなと言った。しかし、新人講師時代は授業のコマも少なかったので、当時より時給の高かった家庭教師の登録を複数しておいて、毎日のように『先生』となった。

 

家庭教師の生徒、かわいい妹のように思っていた子が居たが、よく風邪をひかれてドタキャンされた。冬は特に収入が減ったのだが、熱があると言われているのに寝ている横で授業する訳にもいかない。塾講師がドタキャンされる心配は無いが、ドタキャンすることも出来ない。自分の代わりを見つけるのは難しく、熱があるけど授業した時はキツかった。

小学生、中学生、高校生色々受け持って気付く

中学受験していないのに小学生に教える機会があるとは驚いた。頼まれると断れないので引き受けてしまったのだが……私、あまり子供のお守りみたいなの好きじゃなかったっぽい!一応、引き受けてしまった以上は一生懸命教えたけど、小学生のあり余る元気な様子を見ていると、自分の活力が吸い取られていくような気持ちになった。テンション高めの人向きのような気がする。

 

中学生相手の先生は、もともと私の憧れていた姿であり、やりがいが有った。特に家庭教師の場合は、一人っ子とか一番上とかの子が『こんなお姉ちゃん欲しかった~!』って感じでなついてくれるのが嬉しかった。『ツレのお姉がこう言うんだってー!』って話してくれる雑談を聞いていると、そのツレは『ツレのカテキョーが言うんだってー!』ってお姉さんに伝えているような気がする。うん、私もこんなお姉ちゃん欲しかったわ。

 

高校生相手の先生は面白かったけど、疲れた。難しい内容をわかりやすく解く、高校時代の恩師の教え方をパクっていたことで授業中はリスペクト目線で見てもらえたけど……ナメられてるなーという実感があった。明らかに私より人生経験抱負だろって生徒が何人も居たし。下の名前で呼び捨てされるし。『大学4年も通ってれば、いつかふかる。にだって彼氏できるって!心配するな!』って励まされたりもした(本当は先生にも彼氏ぐらい居たんだってば!!)。

教育産業バンザイ

楽しくてやりがいあるってのが一番だったが。時給の高さもモチベーション上がるというものである。『居酒屋のバイト、まず揚げ物担当から始めるルールらしくて、ほら、又やけどした!』……とか、キツそうなのに儲からないらしいアルバイトをする友達が何人か居た。『塾講師は独壇場だし、家庭教師はバーチャル姉妹だし、教育産業って楽しいよ!』と、熱弁し続けた。

 

『ふある。が何度もお勧めするから家庭教師始めたんだけど、本当にいい仕事だわ、ありがとうね!』って言ってくれる子も居たが、ある特定の仲良しグループだけはキツそうで儲からないアルバイトを続けている。そして、聞いてはいけない質問をしてしまったのだ。『なんで楽しくて儲かる、塾講師とか家庭教師のアルバイトをしないの?』実際、私の通っていた大学には教育産業のアルバイトをしている学生がたくさん居たし、それをしない子たちが不思議でならなかったのだ。

 

『俺らって、内部進学だろ?高校入学以降は全然勉強してないってみなされるから、そういうバイトは不合格になるの。』『高等部なんてかなりの難関高じゃなかった?私、そこに合格してきた人たちのこと、ちゃんと尊敬してるわよ。雇ってくれてもいいじゃないの。』『じゃ、今度ふある。に雇ってもらおっかな。』そう言って悲しそうに(或いは面倒臭そうに)彼は笑った。

 

(とりとめもないまま長過ぎるので、一旦ここで止めておく。)